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ページID:0114173 更新日:2024年7月25日更新 印刷ページ表示

特別展「漫画家生活60周年記念 青池保子展 Contrail 航跡のかがやき」

展覧会概要
展覧会構成
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展覧会概要

 下関市・長府に生まれた少女漫画の巨匠・青池保子(1948年生まれ)。1963年、15歳でのデビュー(「さよならナネット」掲載:『りぼん』1964年お正月大増刊号)から、今も現役で活躍する作家の独創的な世界をご紹介します。

 1970年代の漫画界に衝撃を与えた「イブの息子たち」、そして東西冷戦を背景に長期にわたり展開され大ヒットした「エロイカより愛をこめて」、1980年代以降の歴史ロマン(「アルカサル―王城―」、「修道士ファルコ」、「ケルン市警オド」)。おもにヨーロッパを舞台とする壮大な物語の数々は、歴史・美術史考証の面でも高度な内容を誇り、性別や年代をこえた幅広い層を魅了しています。

 このたびの展覧会は、秋田書店が所蔵するカラー原稿から厳選した作品を中心に過去の展覧会では出品されなかったモノクロ原稿などをあわせ約300点の原画により構成します。青池保子の作品世界、その華麗で綿密なヴィジョンを堪能するまたとない機会です。

「エロイカより愛をこめて」『月刊プリンセス』11月号(1980年)

展覧会名

漫画家生活60周年記念 青池保子展 Contrail 航跡のかがやき

会期 2024年8月31日(土曜日)~2024年10月14日(月曜日・祝日)
開館時間 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 月曜日(祝日の9月16日、9月23日、10月14日は開館)
会場 下関市立美術館
観覧料

一般1,400円(1,200円)、大学生1,200円(1,000円)

※( )内は平日料金。18歳以下の方、高等学校、中等教育学校、特別支援学校に在学の生徒は、観覧料が免除されます。下関市内に居住する65歳以上の方は半額が免除されます。
(いずれも公的証明書の提示が必要です)
観覧料減免の詳細については、こちらをご覧ください。

※前売り券はございません。

主催 下関市立美術館  毎日新聞社 tysテレビ山口
特別協力 秋田書店
企画 毎日新聞社

「エロイカより愛をこめて」『プリンセス』11月号(1980年)秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)
展覧会リーフレット [PDFファイル/1.29MB]
作品リスト ←9月頃公開予定​
青池保子展リーフレット表面2 青池保子展リーフレット表面1  青池保子展リーフレット裏面

展覧会について

第1章 女子高生漫画家デビュー/初期作品

 青池保子は、1948年に7人きょうだいの末っ子として生まれました。父の保は、建設会社を経営するかたわら、日本画を描く趣味人でもありました。子供の頃から絵を描くことが好きだった保子は、杉浦茂、望月三起也など主として少年漫画を愛読。やがて自分でも描くようになります。同郷の少女漫画家・水野英子が山口へ帰省した際は、姉に連れられて会いに行きました。
 中学3年生のとき、「さよならナネット」が1964年の『りぼん』(集英社)お正月大増刊号で掲載され、漫画家デビュー。中高一貫のミッション・スクールに通学しながら制作し、『週刊少女フレンド』(講談社)に「ローラのほほえみ」(1964年)、高校1年生で初の連載「ばらが泣くとき」(立原えりか原作、1965年)が掲載されました。ラブコメディ、スポーツものなど多彩なジャンルをこなしました。
1973年からフリーとなり、画風も変化します。『プリンセス』(秋田書店)1975年1月創刊号より「ミリアムブルーの湖」(名木田恵子原作)を連載しました。
  
「さよならナネット」『りぼん』お正月大増刊号(1964年)秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten) 『アップルハニー』扉絵
(左)​「さよならナネット」『りぼん』お正月大増刊号(1964年)秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)
(右)​「アップル・ハニー」『プリンセス』8月号(1975年)秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)

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第2章 脱・少女漫画―「イブの息子たち」の衝撃

 『プリンセス』1976 年1 月号から連載が始まった「イブの息子たち」は、ロンドンに住む若者3人(ジャスティン、ヒース、バージル)が、奇妙な天使たちの導きで異世界へトリップし、パロディ化された歴史上の人物たちに追い回されるSFドタバタ劇です。誰もが知っている人々を美しい絵で個性的に描き、西洋絵画や同時代の漫画がたびたび引用されました。
 「とにかく面白い事をやろう」と始められたシリーズは、少女漫画界に衝撃を与え、性別年代をこえてファン層が拡大しました。特別番外編には、他の人気作のキャラクターが集います。​
   
イブの息子たち 『イブの息子たち』 PART6 第5話 扉絵
(左)「イブの息子たち」『プリンセス』6月号(1979年)秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)
(右)「イブの息子たち」『プリンセス』7月号(1979年)秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)

第3章 帆船、海をゆく男たち

 海に近い町で育ち、帆船が好きな青池は、『月刊セブンティーン』(集英社)誌上で、海をテーマとする作品を発表しました。同誌において「好きなことがやれた」「自分の個性、描きたいものに気付かされた」といい、1977年2~6月号に「七つの海 七つの空」を連載。
 その物語で一度死んだティリアンは、青池にとって極めて重要なキャラクターとなり、「エル・アルコン―鷹―」でダークな主人公として復活しました(1977 年9月号から翌年2月号にかけて連載)。「エル・アルコン―鷹― テンペスト」には、ティリアンと火花を散らす女海賊ギルダが登場します。
2007 年、「エル・アルコン―鷹―」は宝塚歌劇団星組により上演されました(2020年に再演)。
  
『エル・アルコン-鷹-』  テンペスト前編
「テンペスト」『月刊セブンティーン』7月号(1978年)秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)

第4章 光と影の歴史を描く、虚と実

 本章では、新書館が発行した雑誌『グレープフルーツ』において、1981~86 年に、実在する歴史上の人物たちの肖像を描いた作品を紹介します。連載「光と影の伝説」は、気になる歴史上の人物を自分で調べ、絵ものがたりとして描いたもの。レパントの海戦の覇者ドン・ファン・デ・アウストリア、狙撃により落命したネルソン提督の恋人エンマ・ハミルトン夫人、イザベルI世とフェルナンドII世夫妻、その娘のファーナ・ラ・ロカなどが取り上げられました。権力の高みにありながら、ままならぬ運命をたどった人々の描写は緻密で、衣装の表現など圧倒されます。
 一方、十字軍をモチーフにした「サラディンの日」は、架空の歴史物語です。​
  
光の影の伝説2 ファーナ・ラ・ロカ(1) 狂女王ファーナ 8_光の影の伝説6 王女イザベルの恋 イザベルⅠ世(1) 『女王メアリー・スチュアート -美貌の悲劇・エリザベスの陰謀-』
(左)「光の影の伝説2 ファーナ・ラ・ロカ(1) 狂女王ファーナ」『グレープフルーツ』2号(1981年11月25日)秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)
(中央)「光の影の伝説6 王女イザベルの恋 イザベルI世(1)」​『グレープフルーツ』6号(1982年10月25日)秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)
(右)『女王メアリー・スチュアート -美貌の悲劇・エリザベスの陰謀-』表紙用イラスト(1982年)​秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)

第5章 スペインの残酷王伝「アルカサル-王城-」

 『プリンセス』1984年1月号から、イベリア半島統一を目指したドン・ペドロ王の生涯をたどる「アルカサル―王城―」の連載が始まった。彼についてはその1年くらい前から関心を抱いていたといい、ちょうど「光と影の伝説」の連載時期に重なります。
 資料を読み込み、円熟期の画力で描いたこの歴史物語により、第20回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞しました。カラー原画の圧倒的な美しさ、中世の生活風俗が生き生きと伝わるモノクロ原画に心ふるえます。「アルカサル―王城―」は24年かけて完結しました。
 2014年に宝塚歌劇団星組により上演されました。​
   
『アルカサル-王城-』 第2部第1話 扉絵s 『アルカサル-王城-』 第2部第1話 扉絵
​(左)​​「アルカサル―王城―​」『ビバプリンセス』12月25日号(1988年)秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)
(右)「アルカサル
―​王城―​」『プリンセス』1月号(1986年)​秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)

第6章 中世の人々「修道士ファルコ」「ケルン市警オド」

 「アルカサル―王城―」は史実に基づく物語ですが、1990年代以降は、創作による「修道士ファルコ」(『花曜日』(白泉社)1991年AUTUMN号ほか)と「ケルン市警オド」(『プリンセスGOLD』(秋田書店)2016年1月号ほか)が連載されました。これらは中世3部作と呼ばれ、数百年前の欧州地域における社会と人々の暮らしが、異なる階層(王、修道士、官吏)の視点で描かれ、併せて読むと当時の雰囲気がよく理解できます。
 修道士のファルコは、かつて武術に秀でた騎士でした。生活する修道院で出会ったオド修道士は、もとケルン市の敏腕警察官。異なる物語の登場人物たちの人生が、交錯します。​
   
『修道士ファルコ』 Chap.5-4 扉絵 『ケルン市警オド』 Chap.19 扉絵
(左)「修道士ファルコ」『メロディ』(2001年5月)秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)
(右)「ケルン市警オド」『ミステリーボニータ』1月号(2020年)​秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)

第7章 「エロイカより愛をこめて」の世界(エロイカ変奏曲/間奏曲 「Z」「魔弾の射手」/間奏曲 作者のことば)

 1977年1月、『別冊ビバプリンセス』(秋田書店)誌上で「エロイカより愛をこめて」の連載が始まりました。美術品泥棒エロイカことイギリス人のドリアン・レッド・グローリア伯爵と、脇役として登場しながらスーパー・ヒーローとなったドイツ人のNATO(北大西洋条約機構)の情報将校クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐が、世界を駆け巡り活躍する最大の人気作です。No.6「イン・シャー・アッラー」(1979年)には在りし日のパルミュラ遺跡が描かれました。
 「Z―ツェット―」と「魔弾の射手」は、シリアスなスパイ物語。Z(ツェット)は、エーベルバッハ少佐の部下の職務上の呼び名で、新米の彼が、試練を経て成長していく話が1年に1作描かれました。​
  
 『エロイカより愛をこめて』 No.7 「ハレルヤ・エクスプレス」  『エロイカより愛をこめて』 No.10 「グラス・ターゲット」.jpg
『Z』 ケルン・ボン空港.jpg 『魔弾の射手』.jpg
(左から)「エロイカより愛をこめて」『プリンセス』12月号(1979年)​秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)
​「エロイカより愛をこめて」『プリンセス』1月号(1981年)秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)
「Z―ツェット
―​」カレンダー用イラスト(1983年11月)​秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)
​「魔弾の射手」『プリンセス』8月号(1982年)秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko(Akitashoten)

第8章 「エロイカより愛をこめて」冷戦後の世界

 1989年11月、ベルリンの壁が崩壊しました。世界情勢は変化し、その後の連載No.15「ノスフェラトゥ」(1995年)では、旧ロシアの武器、美術品流出が描かれました。「エロイカより愛をこめて」の登場人物をとりまく物語は、現実の世界とはもちろん異なりますが、使用される小道具を含め「世界のかたちの今」を常に伝えてくれます。作者の取材力と協力者たちの資料情報提供により、原点とも言える美術品をめぐるシーンはリアルです。​
   

売店

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