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ページID:0071899 更新日:2022年9月18日更新 印刷ページ表示

特別展「山水画と風景画のあいだ─真景図の近代」

山水画と風景画のあいだ ページ内バナー

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※台風14号の接近に伴い、9月19日(月・祝)は臨時休館いたします

展覧会構成
作品リスト
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展覧会図録
展覧会概要
会話で学ぼう!山水画と風景画のあいだ 
プレスリリース 

展覧会構成

※本サイト内の画像の無断転載・転用はお控えください。

会期:2022年8月20日(土曜日)~10月16日(日曜日)
   前期展示:8 月 20 日(土曜日)~ 9 月 16 日(金曜日) 後期展示: 9 月 17 日(土曜日)~ 10 月 16 日(日曜日)※詳しくは作品リストをご覧ください [PDFファイル/326KB]
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日(祝日の9月19日と10月10日は開館)

☑ 近世と近代の両方の時代にまたがる風景表現を一挙公開
☑ 誰もが知る大家・名匠の作品を展示
☑ 狩野芳崖、高島北海、松林桂月など長州の画家たちによる貴重な山水画を紹介

​ 誰しもきれいな風景画を見ると心がなごみます。しかし、日本では私たちが思い浮かべるような風景画が描かれるようになるのは近代になってからであり、長らく中国からもたらされた山水画こそが美術の主流でした。本展では、所蔵品約20点を含めた約100点の作品をご紹介し、江戸時代後期から昭和初期にかけての日本の風景表現のうつり変わりを通して、日本人の風景を見る眼がいかに確立してきたかをたどります。

第1章 真景図のはじまり

☑ 亜欧堂田善(あおうどう・でんぜん)の《東都名所全図(小型江戸名所図)》など重要文化財10点を公開 
    ※重要文化財10点はすべて菅茶山関係資料、広島県立歴史博物館蔵。前期に4点、後期に6点を展示。
☑ 下関にも来遊した頼山陽や田能村竹田、司馬江漢らの作品を展示
☑ 歌川広重など、誰もが知る大家・名匠の優品を紹介 

 第1章では、江戸時代後期、下関にも来遊した頼山陽や田能村竹田、蘭学者で洋風画を描いた司馬江漢、また浮世絵師として人気を博した歌川広重など、誰もが知る大家・名匠の面々が並びます。 
 中世から江戸時代まで日本で主流であった山水画は、中国の水墨の山水画を手本としていたため、中国の風景を描いたものが主流でした。一方、江戸時代になると、経験主義的・実証主義的なものの見方が広まり、自然主義への志向が高まります。
 浦上玉堂や谷文晁といった文人画(南画)には、日本の自然を独自の様式に昇華したり、自然をそのまま描こうとしたりしたものがありました。その中から真景図が登場します。真景図とは、日本の特定の場所の写生に基づいた山水画のことです。このような実景表現が風景表現への新たな関心と展開を促すことになりました。
 長崎では、中国清朝の写実的な花鳥画を伝えた沈南蘋(しん・なんぴん)の画風が伝わり、蘭学の影響によって西洋画の技法も注目を集めました。江戸の司馬江漢や亜欧堂田善らは西洋の遠近法に基づいて奥行きのある空間を描きます。​また、江戸時代に旅行がブームになると、日本の名所を表現した風景版画が流行し、歌川広重の「東海道五十三次」のような名作が生まれました。
 このように、文人画が描いた真景図を契機として江戸時代にはさまざまな風景表現が生まれ、近代以降の日本では山水画から風景画へ移行することになります。

玉堂tikudenkeiga司馬江漢《七里ヶ浜図》三俣広重

左上より:浦上玉堂《秋江雨晴図》※前期 江戸時代(19世紀前半) 岡山県立美術館/田能村竹田《青緑倪法山水図巻》江戸時代 (19世紀前半) 福岡市美術館/川原慶賀《長崎港図》江戸時代(19世紀前半) 守屋壽コレクション(広島県立歴史博物館蔵)/司馬江漢《七里ヶ浜図》※前期 江戸時代後期 大和文華館/亜欧堂田善《三俣真景(小型江戸名所図)》※後期 文化年間(1804-18)頃 重要文化財菅茶山関係資料(広島県立歴史博物館蔵)/歌川広重《東海道五十三次之内 箱根 湖水図》天保4‐5年(1833‐34) 個人蔵

※は半期展示

第2章 下関と長州の風景表現

☑  長州の二大巨匠 狩野芳崖と高島北海の山水画を紹介
☑  全長約6メートル! 15歳の芳崖が下関を描いた《馬関真景図巻》を公開 ※半期ごとに巻替え

 第2章では、下関と長州ゆかりの人々に焦点を当てます。下関と長州の景観は、画家に創意を与えてきました。チャールズ・ワーグマンが下関戦争図でもとにしたといわれる、写真の構図や遠近法は、近代以降の風景画につながるものでもありました。
 長州は真景図とも関わりが深い絵師や画家たちを輩出してきました。幕末から明治の社会変動のなかで、文人画は、新政府の中核をなす武士たちが漢詩や漢学の素養をもっていたことから、引き続き流行します。真景図は文人画の間で存続し、萩出身の松林桂月は、実景を描写して文人画の領域を開拓しました。
 明治時代の山水画は、狩野派などの流派の特色が薄れ、新しく日本画として一本化する道を進みます。下関、長府に生まれた狩野芳崖も新たな日本画の創出の先鞭をつけました。芳崖の晩年の山水画には、江戸時代までの山水画とは異なる自然との関係が見られ、独自の個性が表れています。芳崖は江戸から明治へ、時代を橋渡しすることになります。
 萩出身の高島北海は、次第に西洋化していった近代日本画の潮流とは異なり、文人画における真景図を試みました。幕末明治以降も文人画は真景図を追求し続けることになります。

ワーグマン北海sadahide芳崖狩野芳崖《月夜山水図》北海2keigetu

 

左上から:チャールズ・ワーグマン《下関戦争図》元治元年(1864) 下関市立歴史博物館/高島北海《日本亜伯槍ヶ岳図》※後期 明治44年(1911) 下関市立美術館/五雲亭貞秀《西国名所之内》部分※半期毎に頁替え 慶応元年(1865) 神戸市立博物館/狩野芳崖《馬関真景図巻》部分 ※半期毎に巻替え 天保13年(1842) 個人蔵(下関市立美術館寄託)/狩野芳崖《月夜山水図》※前期 嘉永2年(1849)頃以降 山口県立美術館/高島北海《朝鮮金剛山万物相図》※後期 大正8年(1919) 下関市立美術館​/松林桂月《赤壁賦図》昭和10年(1935)頃 下関市立美術館

※は半期展示または場面替え

第3章 近代風景画の成立

☑ 近代日本画の巨匠、横山大観・菱田春草・竹内栖鳳の優れた作品を展示
☑ 迫真のリアリズム! 高橋由一の《琴平山遠望図》を紹介
☑ 小林清親・川瀬巴水・吉田博ら幕末から昭和初期の風景版画を一挙公開

 第3章では、明治以降の風景表現をたどります。新しい日本画の創出を目指した横山大観や菱田春草は、線を用いずに面によって空間を表現する朦朧体(もうろうたい)を試み、一方、川合玉堂や竹内栖鳳は、朦朧体のように筆線を否定することなく、西洋の写実表現を取り入れます。 
 近代洋画の開拓者、高橋由一は日本人としてはじめて本格的に油彩画の風景を描きますが、その構図やモチーフは、名所絵の伝統を引き継ぐものでした。1900年頃、西洋人からあるいは西洋で学んだ画家たちにより、「あるがままの自然」を描くことが意識されるようになり、それが日本における山水画から風景画への転機となりました。大正時代になると、岸田劉生のように、高橋由一同様、土着性が感じられる風景画を描く画家も登場します。
 浮世絵の流れを引く版画は、庶民の芸術としてずっとさかんでした。明治時代に活躍した小林清親は、明暗法を導入した「光線画」を生み出します。大正時代には吉田博や川瀬巴水の新版画による風景画が描かれます。
 日本画・洋画・版画とそれぞれの風景表現の変遷をたどると、風景画はかつての文人画以上に日本社会に広く定着していることがわかります。ここにおいて、山水画に始まり、真景図を経て風景画にいたる流れが完結したといえるでしょう。

小林清親《今戸橋月夜茶亭》kiyotika高橋由一《琴平山遠望図》yosidataikanhasuiiryusei春草川合玉堂《溪村春麓図》

 

 

左上から:小林清親《今戸橋月夜茶亭》明治10年(1877)頃 兵庫県立美術館/小林清親《浜町より写す両国大火》明治14年(1881) 兵庫県立美術館/高橋由一《琴平山遠望図》明治14年(1881)金刀比羅宮/吉田博《雲井桜》※前期 明治32年(1899)頃 福岡県立美術館/横山大観《冬の海》※前期 明治40年(1907)頃 蘭島閣美術館/川瀬巴水《清澄公園》 大正9年(1920) 兵庫県立美術館/岸田劉生 《初夏の小路》大正6年(1917) 下関市立美術館/菱田春草《荘重(高士望岳)》※前期 明治35年(1902) 広島県立美術館/川合玉堂 《溪村春麓図》※前期 明治40年(1907) 広島県立美術館

※は半期展示

 

作品リスト


▷作品リストはこちら「山水画と風景画のあいだ―真景図の近代」作品リスト [PDFファイル/326KB]
※展示作品は変更になる場合があります。

関連催事

連続講演会「風景画の東西」

講師:宮下 規久朗 氏(神戸大学大学院人文学研究科教授)
​概要:展覧会の開催を記念して、宮下規久朗先生をお招きして連続講演を開催いたします。先生はイタリア美術史の専門家ですが、古今東西の美術に通じ、専門書から一般書まで毎年のように数多くの著書を出版されています。今回は、西洋と東洋の風景画について、該博な知識を動員して2回にわたる講演を実施します。
日時:(1)2022年8月27日(土曜日) 西洋の風景画の成立と展開
    (2)2022年8月28日(日曜日) 東洋と現代の自然表現
   各日午後5時~6時30分
会場:下関市立美術館 光庭
定員:各回60名
※聴講無料。ただし、当日の観覧受付が必要です。午後4時30分までに観覧受付をお済ませください。
※要事前申し込み。美術館に来館またはお電話で「(1)参加日、(2)氏名、(3)連絡先」をお伝えください。

※終了いたしました。ご参加ありがとうございました。

講演会チラシ
講演会「風景画の東西」チラシ [PDFファイル/3.37MB]
はこちらからご覧いただけます。

実技講座 絵画制作入門─水彩で風景画を描こう

講師:井手 隆 氏(日本画家)
​内容:風景を題材に、水彩絵の具を用いた絵画制作の実技講習を行います。
日時:2022年10月1日(土曜日)、2日(日曜日)
   各日午前10時~12時30分 ※2日通し講座​
会場:下関市立美術館 造形室
定員・対象:15名・中学生以上
参加費:1,000円
応募方法:8月23日(火曜日)に応募受付を開始します。
※定員になりました。受付は終了いたしました。

講座「山水画と風景画のあいだ」

講師:藪田淳子(下関市立美術館学芸員)
​内容:展覧会の内容と見どころをわかりやすく説明します。
日時:(1)2022年9月3日(土曜日) 午後1時30分~2時30分 ※終了いたしました。ご参加ありがとうございました。
    (2)2022年10月1日(土曜日) 午後1時30分~2時30分  ※終了いたしました。ご参加ありがとうございました。
会場:下関市立美術館 講堂
※聴講無料。ただし、当日の観覧受付が必要です。参加人数が多い場合は複数回に分けて実施します。

展覧会図録

内容:全出品作品図版※、論文3編、作家・作品解説、出品目録
※特別出品の作品は含まれません。
目次はこちら [PDFファイル/340KB]

判型・ページ数:A4・160ページ

販売価格:2,000円

販売方法:美術館売店または現金書留で購入いただけます。詳しい購入方法はこちらをご覧ください。
https://www.city.shimonoseki.lg.jp/site/art/6613.html

会話で学ぼう!山水画と風景画のあいだ

展示作品の見どころを出品作家たちが紹介します。
キャラクター紹介 [PDFファイル/925KB]
第一回 田能村竹田 《小迫門泛舟図》 [PDFファイル/1005KB]
第二回 司馬 江漢 《七里ヶ浜図》 [PDFファイル/944KB]
第三回 高島北海 《日本亜伯槍ヶ岳図》 [PDFファイル/1024KB]
第四回 高橋 由一 《琴平山遠望図》 [PDFファイル/1.02MB]
第五回 森春樹《筑後川図巻》 [PDFファイル/2.12MB]
第六回 岸田劉生《日比谷の木立》《初夏の小路》 [PDFファイル/2.43MB]

展覧会概要

展覧会名 山水画と風景画のあいだ─真景図の近代
会期 2022年8月20日(土曜日)~10月16日(日曜日)
開館時間 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 月曜日(祝日の9月19日と10月10日は開館)
会場 下関市立美術館
観覧料 一般1,200円(960円)/大学生900円(720円)
※()内は、20名以上の団体料金。
18歳以下の方、高等学校、中等教育学校、特別支援学校に在学の生徒は、観覧料が免除されます。下関市内に居住する65歳以上の方は半額が免除されます。(いずれも公的証明書の提示が必要です)
観覧料減免の詳細については、こちらをご覧ください。
主催 下関市立美術館  毎日新聞社 テレビ山口
協力 兵庫県立美術館
協賛 やまぐち文化プログラム

特別展「山水画と風景画のあいだ」リーフレット
別展「山水画と風景画のあいだ」リーフレット [PDFファイル/2.86MB]
はこちらからご覧いただけます。
展覧会予告動画はこちら<外部リンク>(美術館公式Youtubeチャンネル、
制作・放映:tysテレビ山口​

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