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ページID:0083565 更新日:2022年12月1日更新 印刷ページ表示

イラスト作品募集 審査結果発表

特別展「ビアズリーの系譜 アールヌーヴォー、日本の近代画家たち」関連企画

イラスト作品審査結果発表

この度のイラスト作品募集には、全国の皆様から総数76点ものご応募をいただきました。厳正なる審査の結果、多彩なイラストの中から、下関市立美術館長賞、読売新聞社賞、KRY山口放送賞、学芸員賞(2枠)、長府高校インターンシップ生賞の計6賞を選考いたしましたので、ここにご報告いたします。
審査のようすは、美術館のYouTubeチャンネルでも公開しておりますので、ぜひご覧ください。
https://youtu.be/Y-PaOp8TJbM<外部リンク>

本企画の開催に際しては、関係者各位のご厚意とご協力をいただき、お陰様で多数のご応募を頂きました。あらためてご協力に感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

以下に、受賞作品と審査員のコメントをご紹介します。

下関市立美術館長賞

Sen Ofuneさん《恍惚》
作者コメント:「7つのヴェールの踊り」の褒美に王女サロメは預言者ヨカナーンの首を王に所望しました。その褒美を手にして高揚する彼女の姿を描きました。ヨカナーンの首は彼女にしか見えていない“幻視”であるというギュスターヴ・モローの解釈を取り入れています。本来とても猟奇的なシーンですが、狂気に陥った彼女の世界を“恋する乙女の幻想”というイメージで描いています。ビアズリーの白と黒、装飾的な描写を自分なりに解釈して表現しました。

《恍惚》

審査員コメント:「恍惚」をテーマ/題名として掲げたセンスが鋭く、図のインパクトとあいまってすばらしい一点です。作者コメントには、短い中にも「狂気」「幻想」「幻視」「装飾」「ギュスターヴ・モロー」……と、これぞ展覧会の狙ったところ、というよりも芸術の本質をついたキーワードが連なっており、この人わかってる、とうならされます。 図は、優しく暖かみのあるおおらかな作風――であればこそ、サロメの目もとの妖しさは絶品で、他に容易に見いだせない種類のものです。首だけになったヨカナーンの横顔もえもいわれぬ風情をたたえ、これまた絶妙。余人の割り込めない恍惚の情景を描ききっています。

 

読売新聞社賞

中村 千東さん《THE YELLOW BOOK ~NOVEMBER 2022~》
作者コメント:〈1894年に刊行が始まった『イエロー・ブック』は、イギリスの世紀末を代表する雑誌で、1890年代を、この雑誌の色にちなんで「イエロー・ナインティーズ」と呼ぶことがある。『イエロー・ブック』の企画者たちは、雑誌であるが、図書館に入るようなクオリティの高いものを作ろう、という気概に満ちており、芸術としての文学と美術とを追求する、それまでの雑誌とは一線を画するものを目指していた〉─ビアズリー怪奇幻想名品集 著富田章より引用─
この文章を読んで、現代の『イエロー・ブック』の表紙をイメージして描きました。世紀末と今を行き来しながら、楽しい時間を過ごしました。

THE YELLOW BOOK ~NOVEMBER 2022~

審査員コメント:ビアズリーが生きていたら、作者の方も書かれているように、まさに現代風『イエロー・ブック』は、こんな感じだったのではないでしょうか。作品の女性は、おそらくスマホを手に何か音楽を聴いているのでしょう。どんな曲なんだろうと、想像しながら拝見しました。作者の方がすごく楽しんで書かれているのが伝わってきました。

 

KRY山口放送賞

大石 路子さん《花を踏む》
作者コメント:不安と緊張を持ちつつも欲と自信に満ちた踊る直前のサロメを描きました。ドクロや足もとの花はヨカナーンのその後を表現してみました。

花を踏む

審査員コメント:画風がビアズリーから何らかの影響を受けている感じがします。「踊り」なんだけれど、あえて全身を描かずに、足だけで緊張感とか不安をよく表現できていると思います。そのあたりが、ビアズリーのように挑発的と言ったらいいすぎかもしれないが、ちょっと素直じゃないところ、あえて足だけで表現しようとしているところに、ビアズリーのエッセンスを感じました。全身が描かれていたら違う印象になると思うが、足だけということで、より不安が強調されている点が良いと思います。

 

学芸員賞

しょーとばれるさん《事前知識ゼロの「7つのヴェールの踊り」解釈》
作者コメント:オスカー・ワイルドもオーブリー・ビアズリーも何も知らない私がタイトルと曲だけ聞いてイメージしたイラスト。印刷後に初めて勉強し、曲に込もった狂気のストーリーを知り、戦慄しております。

事前知識ゼロの「7つのヴェールの踊り」解釈

審査員コメント:本作は、作者の方が『サロメ』の題名と曲から、ヴェールが海に投げ込まれる光景が浮かんだということで、そういったイメージから制作されているようです。波間に漂うヴェールの揺れ動きを「踊り」として解釈し、揺れ動きの記録を回路図を思わせる工学的なドキュメントとして提示しようとする発想が斬新で面白く感じました。また、「踊り」という行為を再現不可能な一過性の「現象」としてシステム化しようとする手つきにも構成力が伴っているように感じられました。コンセプトを視覚化するためのグラフィックとして、説得力のあるものになっていたと思います。

 

学芸員賞

まるさん《皿の上の恋》
作者コメント:ヨカナーンの首を欲するサロメに感じた無邪気な恋心と彼女の王女でも心のままに振る舞う姿を描きました。

皿の上の恋

審査員コメント:軽やかに踊るサロメにはしっかりと重力が感じられ、しなやかで美しい身体は現実性を失わない健康さを持っており、全体的に神秘的でありながら実在性のある作品だと感じました。ベールが7枚で構成されているところや、ベールに隠れた身体の線の濃度の違い、髪の毛の描写など、細かいところにまで気を遣われていて、見れば見るほどに感動しました。少ないながら迷いのない線で作品をしっかりとまとめ上げて完成させているという点もビアズリー作品に通じているようで、とても魅力的だと思います。また、キラキラと光沢のある用紙を選ばれているのも、実際の作品を見た時のときめきに磨きがかかるポイントだと思いました。

 

長府高校インターンシップ生賞

日戸 元気さん《お前にほんとうの私は見せてやらない》
作者コメント:サロメ(若い女の子)に鼻の下を伸ばして踊れ踊れとせがむ王様を見ていたらこの絵が思い浮かびました。

お前にほんとうの私は見せてやらない

審査員コメント:細かいところの書き込みや、遠近感の表現が素晴らしいです。描き方も、ベタに塗っている部分と、書き込まれている部分のコントラストがバランスがとれていてよいと思いました。