本文
(記者発表資料)下関市指定文化財の追加指定について(旧秋田商会ビル)
旧秋田商会ビル 附(つけたり) 棟札(むなふだ)
平成27年10月27日に下関市指定有形文化財(建造物)に指定された「旧秋田商会ビル」で、その後2枚の棟札(むなふだ)が発見され、令和7年4月18日付けで 附(つけたり)に追加指定を行いました。
※文化財指定の「附」とは、指定された文化財本体と一体となって歴史的な価値などを示す、附属の構造物や建築図面などの資料を指します。棟札もその一つです。重要文化財旧下関英国領事館では、煉瓦塀と上棟年月日が墨書された弊串(へいぐし)が附に指定されています。
棟札1(裏) 棟札1(表)
上の写真の棟札には、表面に水の女神の神号などが記され、この家が長きにわたり繁栄するよう願文が書かれています。また、裏面には、上棟年月日が大正三年十二月二十日であることが記されています。
建築にとって、火災は一度火の手が上がればあらゆるものが灰燼と化す、最も恐ろしいもののひとつです。そのため、防火を願って棟札に水の神を記したと考えられています。
棟札2(裏) 棟札2(表)
この棟札からは、施主が秋田寅之介であり、旧秋田商会ビルの設計監督を4人に命じたことが分かります。なお、4人の経歴についても判明しています。
これまで、旧秋田商会ビルの建築年代や設計者は推定でしたが、この棟札の発見により、建物の完成が大正4年(1915年)であること、また、建築工事に携わった主な技術者が裏付けられました。
建築年代や設計者に関する確たる証拠として、棟札は最も信頼すべき資料のひとつです。そのため、建物と合わせて指定し、保存を図ることとなりました。
なお、旧秋田商会ビルでの上棟式の様子を写した古写真も残されています。
上棟式古写真
※令和7年5月15日から当面の間、旧秋田商会ビル2階で棟札を公開いたします。
また、今年は旧秋田商会ビルの建築110周年にあたります。
これを機に、旧秋田商会ビルへ出かけてみませんか。
畳に座ってくつろいだり、室内に生けてある季節のお花を愛でるなど、思い思いの建物の楽しみ方が拡がっています。