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平成29年度から適用される市・県民税(個人住民税)の主な改正点について
- 1.給与所得控除の見直し(上限額の引き上げ)
- 2.日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等の義務化
- 3.金融所得課税の一体化
- 4.【参考】セルフメディケーション(自主服薬)推進のためのスイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の創設
1.給与所得控除の見直し(上限額の引き上げ)
平成26年度の税制改正により、給与所得控除の見直しが行なわれ、給与所得控除の上限が適用される給与収入1,500万円(控除額245万円)を「平成28年分は1,200万円(控除額230万円)に、平成29年分以降は1,000万円(控除額220万円)に引き下げる」こととされました。
給与所得控除の見直しに係る一覧 | |||
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区分 | 【現行】平成25年分~27年分(平成26年度~28年度課税分) | 平成28年分(平成29年度課税分) | 平成29年分以後(平成30年度以後の課税分) |
上限額が適用される給与収入額 | 1,500万円 | 1,200万円 | 1,000万円 |
給与所得控除の上限額 | 245万円 | 230万円 |
220万円 |
給与所得の計算表
課税年度ごとの給与所得の計算方法は、下表のとおりです。
※A=収入÷4(千円未満は切り捨て)
【現行】平成25年分~27年分(平成26年度~28年度課税分) | 平成28年分(平成29年度課税分) | 平成29年分以後(平成30年度以後の課税分) | |||
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給与等の収入金額 | 給与所得金額 | 給与等の収入金額 | 給与所得金額 | 給与等の収入金額 | 給与所得金額 |
~650,999円 | 0円 | ~650,999円 | 現行に同じ | ~650,999円 | 現行に同じ |
651,000円~1,618,999円 | 収入-650,000円 | 651,000円~1,618,999円 | 651,000円~1,618,999円 | ||
1,619,000円~1,619,999円 | 969,000円 | 1,619,000円~1,619,999円 | 1,619,000円~1,619,999円 | ||
1,620,000円~1,621,999円 | 970,000円 | 1,620,000円~1,621,999円 | 1,620,000円~1,621,999円 | ||
1,622,000円~1,623,999円 | 972,000円 | 1,622,000円~1,623,999円 | 1,622,000円~1,623,999円 | ||
1,624,000円~1,627,999円 | 974,000円 | 1,624,000円~1,627,999円 | 1,624,000円~1,627,999円 | ||
1,628,000円~1,799,999円 | A×4×60% | 1,628,000円~1,799,999円 | 1,628,000円~1,799,999円 | ||
1,800,000円~3,599,999円 | A×4×70%-180,000円 | 1,800,000円~3,599,999円 | 1,800,000円~3,599,999円 | ||
3,600,000円~6,599,999円 | A×4×80%-540,000円 | 3,600,000円~6,599,999円 | 3,600,000円~6,599,999円 | ||
6,600,000円~9,999,999円 | 収入×90%-1,200,000円 | 6,600,000円 9,999,999円 | 6,600,000円~9,999,999円 | ||
10,000,000円~14,999,999円 | 収入×95%-1,700,000円 | 10,000,000円~11,999,999円 | 収入×95%-1,700,000円 | 10,000,000円~ |
収入-2,200,000円 |
15,000,000円~ | 収入-2,450,000円 | 12,000,000円~ | 収入-2,300,000円 |
2.日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等の義務化
平成27年度税制改正で、日本国外に居住する親族(国外居住親族)に係る扶養控除等の適正化の観点から、平成28年1月1日以降に支払われる給与等又は公的年金等に係る所得税の確定申告や市・県民税の申告等において、国外居住親族に係る扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除・障害者控除の適用を受ける場合は、「親族関係書類及び送金関係書類を添付又は提示をしなければならない」こととされました。
※「給与等若しくは公的年金等の源泉徴収」または「給与等の年末調整の際」に源泉徴収義務者に提出又は提示したこれらの書類については、確定申告書や市・県民税の申告書に添付又は提示を要しないこととされています
※国外居住親族が16歳未満であっても、市・県民税の非課税限度額の適用を受ける方やその親族に係る障害者控除を受けようとする方は、上記の関係書類の添付又は提示が必要となります
「親族関係書類」とは
「親族関係書類」とは、次の1又は2のいずれかの書類(これらの書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含みます)で、国外居住親族が納税者の親族であることを証するものをいいます。
- 戸籍の附表の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し
- 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります)
「送金関係書類」とは
「送金関係書類」とは、次の1又は2のいずれかの書類(これらの書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含みます)で、納税者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行なったことを明らかにするものをいいます。
1.金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行なう為替取引により納税者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類(送金依頼書など)
2.いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード会社が交付したカード等を提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその納税者から受領し、または受領することとなることを明らかにする書類(クレジットカード利用明細書など)
リンク
- 国税庁のホームページ(源泉所得税改正のあらまし 平成27年4月)<外部リンク>
- 国税庁のホームページ(国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係) 平成27年9月)<外部リンク>
- 国税庁のホームページ(国外居住親族に係る扶養控除等の適用について 平成27年9月)<外部リンク>
3.金融所得課税の一体化
これまで公社債については、利子・譲渡・償還によって課税の仕組みが異なっていましたが、平成25年度税制改正において、税負担に左右されずに金融商品を選択できるよう、異なる税率等の課税方式の均衡化を進める観点から、株式等の課税方式と同一化されることとされました。
また、特定公社債等の利子及び譲渡損益並びに上場株式等の金融商品間の損益通算範囲を拡大し、3年間の繰越控除ができることとされました。
公社債の課税方式の変更
公社債については、特定公社債等と一般公社債等に区分した上で、課税方式が変更されます。
※特定公社債とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債、平成27年12月31日以前に発行された公社債などの一定の公社債をいいます
公社債の区分 | |
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特定公社債等 | 一般公社債等 |
特定公社債 | 特定公社債以外の公社債 |
公募公社債投資信託の受益権 | 私募公社債投資信託の受益権 |
証券投資信託以外の公募公社債投資信託の受益権 | 証券投資信託以外の私募公社債投資信託の受益権 |
特定目的信託の社債的受益権での公募のもの | 特定目的信託の社債的受益権での私募のもの |
- 特定公社債等の利子は、源泉分離課税(所得税15%、住民税5%)から申告分離課税(所得税15%、住民税5%)に統一されます
- 一般公社債等の利子等については20%の源泉分離課税が維持されます
- 特定公社債等の譲渡益については、非課税から20%の申告分離課税に課税方式が変更されるとともに、税制上、上場株式等と同様な取扱いとされます(損益通算及び繰越控除が可能)
- 平成28年1月1日以後行なう割引債の償還及び譲渡については、20%の申告分離課税の対象とされました。平成27年12月31日以前に発行され償還差益が発行時に源泉徴収の対象とされたものについては、18%の源泉分離課税(所得税18%、住民税非課税)が維持されます
現行と改正後の税率 | ||||
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現行(~平成27年12月31日) | 改正後(平成28年1月1日~) | |||
内容 | 所得区分 | 公社債等 | 特定公社債等 | 一般公社債等 |
利息・利子 | 利子所得 | 源泉分離課税(申告不要) 20%(所得税15%、住民税5%) |
申告分離課税 20%(所得税15%、住民税5%) ※源泉徴収ありの特定口座は申告不要。申告不要とした場合、譲渡損失との損益通算はできません |
源泉分離課税(申告不可) 20%(所得税15%、住民税5%) |
売却益・譲渡損益 | 譲渡所得 | 非課税 | 譲渡所得として申告分離課税 20%(所得税15%、住民税5%) ※源泉徴収ありの特定口座は申告不要 ※確定申告により3年間損失の繰越控除が可能です |
譲渡所得として申告分離課税 20%(所得税15%、住民税5%) |
償還差益 | 雑所得 | 総合課税 (所得税5~45%超過累進課税率、住民税10%) ※割引債は発行時18%の源泉分離課税 (所得税18%、住民税非課税) |
※所得税においては、平成25年から49年までの間に生じる所得について、確定申告や源泉徴収の際には、表中の税率とは別に2.1%の復興特別所得税が課されます
※平成28年1月1日から特定公社債についても、特定口座で計算される所得の対象として受け入れることができることとされました
※平成28年1月1日以降、特定公社債等の利子等については、利子割(住民税5%)の課税対象から除外した上で、配当割の課税対象とされます
※源泉徴収選択特定口座内の特定公社債等の譲渡所得として申告した場合、株式等譲渡所得割の課税対象とされます
損益通算・繰越控除・分離課税制度の改組
従来可能であった「上場株式等」と「一般株式等(未上場株式等)」の間での損益通算ができなくなります
平成28年1月からは、次の1と2の区分による別々の分離課税制度に改組されます
分離課税制度の改組について | |||
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区分 | 各区分内の損益通算 | 各区分内の繰越控除 | |
1 | 特定公社債及び上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税 (申告分離課税を選択された上場株式等の配当所得との損益通算も可能) |
できる | できる |
2 | 一般公社債等及び一般株式等(未上場株式等)に係る譲渡所得等の分離課税 | できる | できない |
リンク
国税庁のホームページ(平成28年1月からの個人の方が上場株式等を保有・譲渡した場合の金融・証券税制について)<外部リンク>
4.【参考】セルフメディケーション(自主服薬)推進のためのスイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の創設
適切な健康管理のもとで医療用医薬品からの代替を進めるという観点から、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行なう個人が、一定のスイッチOTC薬の購入の対価を支払った場合において、その年分の総所得金額等から控除することとされました。
スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の概要
スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の概要については下記のとおりです。
適用期間 |
平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間 |
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対象者 |
健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行なう個人
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対象支出 | 自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入の対価 |
スイッチOTC医薬品 | 医療用から転用(スイッチ)された一定の一般用医薬品等で医師の処方箋がなくても購入できるもの。 対象となる医薬品の薬効の例・・・かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫、たむし用薬、肩こり・腰痛・関節痛の湿布薬 ※上記薬効の医薬品のすべてが対象となるわけではありません。対象医薬品には、日本一般用医薬品連合会が定める「セルフメディケーション税控除対象」の識別マークが記載されています |
控除額 | (その年中に支払った額-保険金等で補てんされる部分の金額)-12,000円(88,000円が限度) |
※本特例の適用を受ける場合には、現行の医療費控除の適用を受けることはできません