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マンション建替えの円滑化等に関する法律
建物の区分所有等に関する法律(昭和37年4月4日法律第69号。以下「区分所有法」という。)に基づく建替え決議がされた場合、都道府県知事等(下関市の区域内にあっては、下関市長。以下「市長」という。)の認可を得て、法人格を有するマンション建替組合を設立できます。
1.マンション建替事業の流れ
- 建替えの合意形成
- 建替え決議(区分所有法)
- マンション建替組合の設立
- 権利変換計画の作成
- 権利の変換
- 建替え工事の実施
- 再建マンションへの入居
2.建替組合設立認可の手続き
(1)定款の作成及び事業計画の作成
建替組合を設立するためには、建替え決議の内容によりマンションの建替えを行う旨の合意をしたものとみなされた者(以下「建替え合意者」という。)が、5人以上共同して、定款および事業計画を作成しなければならない。
- ア 定款の記載事項
- 組合の名称
- 施行マンションの名称及びその所在地
- マンション建替事業の範囲
- 事務所の所在地
- 参加組合員に関する事項
- 事業に要する経費の分担に関する事項
- 役員の定数、任期、職務の分担並びに選挙および選任の方法に関する事項
- 総会に関する事項
- 総代会を設けるときは、総代及び総代会に関する事項
- 事業年度
- 公告の方法
- その他国土交通省令で定める事項
- イ 事業計画の記載事項
- 施行マンションの状況(規模、構造及び設備、竣工年月日、維持管理の状況)
- その敷地の区域及びその住戸の状況
(敷地位置図1/25000以上、敷地区域図1/2500以上)
(住戸数、規模、構造及び設備、維持管理の状況) - 施行再建マンションの設計の概要及びその敷地の区域
(各階平面図1/500以上、2面以上の断面図1/500以上)
(敷地位置図1/25000以上、敷地区域図1/2500以上) - 事業施行期間、資金計画(資金計画は収支予算を明らかにする)
- その他国土交通省令で定める事項
(施行再建マンションの附属施設の設計概要(各階平面図1/500以上、2面以上の断面図1/500以上))
(施行再建マンションの敷地の設計概要(平面図1/500以上))
(2)建替え合意者の同意取得
建替組合の設立には、建替え合意者の3/4以上及び建替え合意者の区分所有法第38条による議決権の3/4以上の同意が必要。
- ア 建替え合意者名簿(参考様式3-(6))の作成
- イ 建替え合意者集計表(参考様式3-(5))の作成
- ウ 同意書(参考様式3-(2))の取得
(3)建替組合設立の認可申請
建替組合設立の認可申請を申請しようとする建替え合意者は、施行マンションの所在地である都道府県知事(下関市の区域内にあっては、市長)に対して組合設立の認可申請を行う。
- ア 認可申請に必要な書類
- 認可申請書(参考様式3-(1))
- 定款
- 事業計画
- イ 認可申請に必要な添付書類
- 認可を申請しようとする者が、施行マンションの建替え合意者等であることを証する書類
- 建替え決議を経た場合は、建替え決議マンションについて、建替え合意者の3/4以上の同意を得たことを証する書類及び建替え決議の内容を記載した書類
- 一括建替え決議を経た場合は、一括建替え決議マンション群について、一括建替え合意者の3/4以上の同意と各マンションごとの区分所有権を有する一括建替え合意者の2/3以上の合意を得たことを証する書類及び一括建替え決議の内容を記載した書類
- 隣接施行敷地がある場合は、隣接施行敷地に建築物等が存しないこと又はその建築物等を除却、移転できることが確実であることを証する書類
(4)事業計画の審査と縦覧
建替組合の設立認可申請があったときは、市長は、以下の認可の基準に照らし合わせて申請書類を審査し、基準に適合すると認めた場合は、施行マンションの事業計画を2週間公衆の縦覧に供させる。
- 申請手続きが法令に違反するものでないこと。
- 定款又は事業計画の決定手続又は内容が法令に違反するものでないこと。
- 隣接施行敷地に建築物等が存しないこと又はその建築物等を除去、移転できることが確実であること
- 施行マンションの住戸の数が、5戸以上であること
- 施行マンションの住戸の規模、構造及び設備の状況にかんがみ、その建替えを行うことが、マンションにおける良好な居住環境の確保のために必要であること。
- 施行再建マンションの住戸の数が、5戸以上であること。
- 施行再建マンションの住戸の規模、構造及び設備の基準が次の基準に適合するものであること。
- 各戸の専有部分の面積が50平方メートル以上(居住すべき者の年齢、所得その他の特別の事情よりやむを得ないと認められる住戸にあっては30平方メートル以上とすることができる。同居又は同居しようとする親族がいない者の居住の用に供する住戸にあっては25平方メートル以上とすることができる。)であり、かつ、2以上の居住室を有すること。
- 耐火構造の住宅又は準耐火構造の住宅であること。建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の2 イに掲げる基準に適合する建築物、当該建築物以外の建築物で同条第9号の3 イ若しくはロのいずれかに該当するもの又はこれに準ずる耐火性能を有する構造の建築物であること。
- 各戸が台所、水洗便所、収納設備、洗面設備及び浴室を備えたものであること。
- 事業施行期間が適切なものであること。
- 当該マンション建替事業を遂行するために必要な経済的基礎及びこれを的確に遂行するために必要なその他の能力が十分であること。
- その他、基本方針に照らして適切なものであること。
(5)事業計画に対する意見書の処理
施行マンション又はその敷地に権利を有する者は、縦覧された事業計画に意見のあるときは、2週間の事業計画の縦覧期間満了の日の翌日から起算して2週間を経過する日までに、市長に意見書を提出することができる。
意見書の提出があったときは、市長は、その内容を審査し、その意見書に係る意見を採択すべきと認めるときは事業計画に必要な修正を加えることを命じ、その意見書に係る意見を採択すべきでないと認めるときは、その旨を意見書を提出した者に通知する。
(6)建替組合設立の認可と公告
市長は、前記の手続きの後、(4)に掲げる認可の基準に申請内容が該当する場合は、建替組合の設立を認可しなくてはならない。
市長は、建替組合設立の認可をしたときは、遅滞なく、次の事項を公告する。
- 建替組合の名称
- 施行マンションの名称及びその敷地の区域
- 施行再建マンションの敷地の区域
- 事業施行期間
- その他国土交通省令で定める事項:事務所の所在地、設立認可の年月日、事業年度、公告の方法、権利変換又は借家権の取得を希望しない旨の申出をすることができる期限
3.権利変換計画認可の手続き
(1)権利変換計画の原案作成と総会議決
建替組合は、権利変換を希望しない旨の申出等を受けた後、遅滞なく権利変換計画原案を作成し、原案について、総会において組合員の議決権及び持分割合の各4/5以上の賛成を得なければならない。
権利変換計画は、配置設計と権利変換計画書で構成され、配置設計は、配置設計図として施行再建マンションの各階平面図に専有部分及び共用部分の配置及び用途を表示したものと敷地平面図に区域を表示したものであり、権利変換計画書(様式第6)とともに作成して定めなければならない。
(2)審査委員の過半数の同意取得
権利変換計画の原案について総会の議決を行う場合、審査委員の過半数の同意(参考様式5-(2))を得なければならない。
(3)関係権利者の同意取得
建替組合は総会での議決を経た、又は受ける予定の原案について、施行マンション又はその敷地について権利を有する者及び隣接施行敷地について権利を有する者の個別の同意(参考様式5-(3))を得なければならない。
区分所有権等以外の権利を有する者については、同意が得られないことに正当な理由があり、かつ、同意を得られない者の権利に関して損害を与えないようにするための措置が適切なものと認められれば、権利変換計画の認可を受けることができることから、理由などを記載した書面(参考様式5-(4))を添えて、市長の認可申請を行うことになる。
また、区分所有権以外の権利を有する者を確知することができないときは、その確知することができない理由を記載した書面(参考様式5-(5))を添えて、認可を申請することができる。
(4)権利変換計画の認可申請と認可
認可申請
権利変換計画の認可を申請しようとする建替組合は、権利変換計画(配置設計図、権利変換計画書)に、以下に掲げる事項を添付して、認可申請書(参考様式5-(1))とともに市長に提出しなければならない。
- 審査委員の過半数の同意を得たことを証する書類
- 権利変換計画の決定についての総会の議決を経たことを証する書類
- 施行マンション又はその敷地について権利を有する者及び隣接施行敷地について権利を有する者の同意を得たことを証する書類
- 特定建物である施行再建マンションの建替えの場合は、建替え承認決議を得たことを証する書類
- 関係権利者の利害の衡平を図るための必要な定めに関する関係権利者の意見の概要を記載した書類
認可
権利変換計画の認可申請がなされると、市長は、次の基準のいずれにも該当すると認めるときは、その認可をしなければならない。
- 申請手続き及び権利変換計画の決定手続き若しくは内容が法令に違反していないこと
- 建替え決議等の内容に適合していること
- 権利変換計画について区分所有権等以外の権利を有する者の同意が得られないことについて正当な理由があり、かつ、同意を得られない者の権利に関し損害を与えないようにするための措置が適切なものであること
- 区分所有権等以外の権利を有する者を確知することができないことについて過失がないこと
- その他基本方針に照らして適切なものであること